Rømø(レム島)へ行く途中にKoldingという街に立ち寄って、Trapholt美術館で開催中のアルネ・ヤコブセン展へ行ってきました。
https://trapholt.dk/arnejacobsendesignerdanmark/
「アルネ・ヤコブセンについて今までで最も総合的な展覧会で、ヤコブセンの新たな一面を体験できるでしょう」
という謳い文句に、期待が膨らみます。
上記のホームページから展覧会の紹介ビデオを見ることが出来るので、興味のある方はぜひご覧ください。
ヤコブセン本人の昔のインタービュー映像もあって、興味深いですよ。
Trapholt美術館には、アルネ・ヤコブセンの幻のモジュールハウス Kubeflexも移築・展示されています。内部を見学出来るガイドツアーがあるので、参加してきました。
https://trapholt.dk/arne-jacobsens-sommerhus/
美術館に移築されているのは、Kubeflexのプロトタイプです。
約10㎡のキューブ状の建物を自由につなげて、フレキシブルでモダンな住居を短期間で建てる、という目的でデザインされたそうです。
残念なことに、商品として販売する前にヤコブセンが亡くなってしまい、このモジュールハウスの販売は実現しなかったそうです。
ヤコブセン亡き後は、ご家族がプライベートのサマーハウスとして長年利用していて、世間からはその存在を忘れかけられていたそうですが、今はTrapholt美術館に移築・展示されて、世界中から見学者が訪れるそうです。
ヤコブセンの家具も好きですが、ヤコブセンの建築が大好きな私としては、実はずっと行きたいと思っていた美術館でした。
今回、ヤコブセンの大規模展覧会を開催中ということで、張り切って行ってきました。
現在開催中のアルネ・ヤコブセン展も、見応えたっぷりでした。
お馴染みの家具が様々なバージョンでズラリと展示されているところもあれば、実物を見るのは初めてのもあり、大興奮でした。
それ以外に建物や場所ごとの展示もあって、とっても良かったです。
建築家を目指す前は画家になりたかったヤコブセン。デザイン画は、どれも本当に美しくて、見惚れてしまいます。
建物だけではなく、家具、照明、時計、サインまでデザインするなんて、凄すぎます。
そして、どれも美しい。
椅子の張り方が気になるので、座面の裏側をくまなくチェックしてしまいました。
なるほど、結構雑でした…
アントチェアはもちろん素敵なのですが、建物の水彩画や文字のデザインも美しくて、惚れ惚れしてしまいます。
ヤコブセンの新しい一面を知ることが出来る展示もたくさんあって、とても興味深かったです。
ヤコブセンについて、建物・インテリア共にトータルデザインした、妥協を許さない完璧主義者のようなイメージでしたが、植物好きだったとは、意外でした。
少しほっこりするエピソードに、ヤコブセンのイメージが少し優しくなりました。
第二次世界大戦中、ドイツの占領下にあったデンマークでユダヤ人の子孫だったヤコブセンは、迫害を恐れて奥さんと一緒にスウェーデンに亡命していました。
テキスタイルプリントの専門家だった奥さんと一緒に、スウェーデンで建築の仕事がない時期に、このようなテキスタイルデザインの仕事をしていたそうです。
ヤコブセンのテキスタイルデザインを見たことがなかったので、その美しさに驚きました。
それ以外には、今まで全く知らなかったヤコブセンデザインの椅子の展示もあって、面白かったです。
オックスチェアと言えばウェグナーしか知りませんでしたが、ヤコブセンもデザインしていたんですね。
感動で胸いっぱいになりながら、最後は美術館の庭の木陰でのんびり余韻に浸っていました。
記念に、今回の展覧会の図録集を買って帰りました。
日本でも美術館はよく行っていましたが、図録集を購入するのは、今回が初めてです。
いつも図録集に載っている写真と展覧会で見た実物の差が大きくて買う気になれなかったのですが、この図録集は、展覧会では説明しきれなかったヤコブセンのエピソードや解説がたくさん掲載されている上に、家具や建物の写真と共にスケッチやテキスタイルデザインも載っているので、ウキウキで購入しました。
今は時間が出来ると、デンマーク語の勉強も兼ねて少しずつ読み進めています。
ヤコブセンについて知らなかったことがたくさんあって、読んでいてとても面白いです。
これからは少しずつ、行きたかったデンマークの美術館巡りもしていこうと思います。