今週は気持ちの良いお天気の日が続いたので、近所のフィヨルドを散歩しました。
空は、もうすっかり秋模様です。
今週もティナの工房では、新しいタイプの椅子張に挑戦させてもらいました。
すごくシンプルなデザインの椅子の背面に合皮を張ったのですが、これが全然キレイに張れません。
曲面にすぐシワが寄ってしまって、引っ張ってもほとんど伸びないタイプの張地なので、シワを伸ばせないんです。
ティナに教えてもらい、ドライヤーのような機械で少しずつ温風を当てながら伸ばしながら、何とか張り終わるぞという最後で、張地の一部が裂けてしまいました。
あー、これは修正出来ないから、張り直しね。また練習できるわね!
と、笑顔で励ましてくれるティナ。
数時間の格闘が…
それにしても、張地も無駄になっちゃったし、私が作業した分の時給も無駄になっちゃったし、ティナには申し訳ないと思ってしまうのですが、そこも笑顔で前向きに、私の練習だから、と考えてくれるティナは、本当に良いお師匠さんだなと思います。
まだまだ失敗もたくさんありますが、少しずつ成長していこうと思います。
本コース1で一緒だったクラスメイトがSNSで、研修先の工房でベアチェア1脚、セブンチェア10脚を自分で張った!と投稿していました。
おお!すごい!
同じ椅子張り職人の学校に通っているとは言え、教育過程で習得する技術や経験、進捗状況は、研修先によって全く違います。
家具メーカーの工場で研修している生徒は、そのメーカーの家具の張り方しか教わりません。作業分担も明確で、自分でウレタンを切ることも接着することも、張地を裁断することもミシンで縫うことも、無いと言っていました。
私はティナと二人だけで、あらゆる種類の家具を修理、張替していきます。
解体が必要な家具は、まずはアーム、脚部、背面、座面と必要なパーツに解体することから始まります。
これが椅子によって全く違うので、いつも頭を使わないといけないんです。
そして最後に組み立てるのが、また一苦労です。
古い張地を剥がして、座面の下のテープやスプリング、木部など、修理が必要な部分は修理をしていきます。
ウレタンはどの種類を使うのか、ウレタンの厚さと硬さを椅子に合わせて検討します。
その後、自分で計測して、必要な場合は型を作ったりしながら、手作業でウレタンを切り出して、接着も行います。
張地は、型をどう切り抜いていくのか、張地の種類(布、本革、合皮)と家具に合わせて考えていきます。型は、古い張地をそのまま型として使うことがほとんどです。
今週は、自分で本革の型の切り抜きをやらせてもらいました。
本革は牛によって大きさも形も違いますし、傷やシワもあるので、どの部分をどう使うのかの判断は、経験によるところが大きいです。
ティナに相談しながら決めていきますが、ハサミを入れるときは、これで大丈夫かな、大丈夫だよな、とドキドキしながら切っていきます。
研修先を選ぶときは、自分が将来どうゆう形で椅子張職人として働きたいのかをよく考えて選ぶのが一番良いのですが、なんせ研修先を探すのがかなり難しい時代です。
タイミングと運、縁に左右される部分が大きいので、古い家具の張替をしたかった私としては、本当にありがたい研修先で、良いお師匠さんに恵まれたな~と思います。
工房で作業していると、外からティナが、来て来て~!と呼ぶので行ってみると、なんと小さなハリネズミがいました。
デンマークには野生のハリネズミが生息していますが、人前には滅多に姿を表しません。
こんな小さな子どものハリネズミ初めて見た~!
と、デンマーク人でも珍しいらしいその小さな生き物を、ティナが私に見せたかったようです。
隠れる場所がない子どものハリネズミは、頭を必死に隠して、全身でふるふる振るえていて、とても可愛いかったです。
ティナの工房では、取り放題だったプラムの収穫が終わり、今週はリンゴの収穫が始まりました。
家族じゃとても食べきれないから、好きなだけ持っていってね。
というお言葉に甘えて、リンゴをたくさんいただいたので、さっそくデンマークのリンゴケーキ、Æblekage(エーブラケーイ)を作りました。
砂糖、シナモン、カルダモンと一緒に煮込んだリンゴソースの上に、Rasp ガスプ(パン粉のようなもの)、Makroner マコーナ(メレンゲのようなもの)、生クリームをのせれば完成です。