北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

現場研修(Læreplads)37 ついに来ましたセブンチェア

デンマークは、新緑真っ盛りです。

鮮やかな緑は、見ているだけでたくさん元気をもらえます。

近所の森も、まぶしい新緑で溢れています。

ティナの工房に、とうとうあの椅子の張替依頼がやってきました。

デンマーク家具と言えばおなじみの、アルネ・ヤコブセンのセブンチェアです。

 

ベテラン職人のヘニングが張り替えているのは何度か見たことがあるのですが、ティナの工房にはなかなか依頼がありませんでした。

 

デンマークでもメジャーな椅子なのですが…

実は、ティナはセブンチェアの張替えが好きではないのです。

すごく手間がかかるから、あまりやりたくないのだそうです。

かと言ってお客さんからの依頼を断るのは難しいから、少し値段を高めに伝えて、お客さんの方から断ってもらうようにしているのだとか。

セブンチェアなら、どこの椅子張り工房でも張替え出来るから、問題無いのだそうです。

 

さすがデンマーク。どこの職人さんでも、セブンチェアの張替えが出来るとは。

特殊な形のウレタンも、セブンチェア専用の物をウレタンメーカーに注文出来ますからね。

 

今回のお客さんは事前に値段を聞かなかったので、断ってもらえなかったようです。

 

ティナはあまりやりたくないようですが、私は初めてのセブンチェアの張替えに興味津々です。

張地をはがす作業はさほど大変ではなかったのですが、古いウレタンをはがす作業がなかなか大変でした。

向かって左が、はがす前の古いウレタン。右がはがした後のもの。

シンプルに見える成形合板は、実は微妙なカーブだらけなのです。

古いウレタンがカーブした曲面にしっかり接着されていて、キレイにはがすためには、何度もこすり取らないといけません。その上、ベトベトに張り付いた古い接着剤が残っている裏側は、さらにはがしにくいです。

 

6脚のセブンチェアのはがし作業で、腕がすっかり筋肉痛になってしまいました。

 

そういえば、スワンチェアのウレタンをはがす作業も大変だったな、と思い出しました。

偉大なヤコブセンの椅子は、どれもシンプルで美しく座り心地も抜群ですが、この美しい曲線が、椅子の張替えにはなかなかのくせ者なのです。

 

ちなみにこのセブンチェアは1982年製で、40年前に作られたものでした。

椅子の底に張られたフリッツハンセンのシール。

作業は大変ですが、40年経っても手間暇かけて張り替えて、また使ってもらえるなんて、セブンチェアもヤコブセンも幸せだな、と思います。

 

ところで今週は、ティナの家からルバーブをいただいて帰りました。

ティナの庭でぐんぐん育っている巨大なルバーブ

いただいたルバーブ。葉には毒があるので、茎だけを食べます。
それにしても、お花の溢れる素敵なお庭です。

日本ではあまり馴染みのないルバーブですが、デンマークでは栽培が簡単で、たくさんの人が家で育てているようです。ただ、どこの家でもぐんぐん育って食べきれないので、ありがたいことに、こうしておすそわけが回って来るのです。

帰ってさっそくケーキとコンポートを作りました。

ルバーブはそのままでは酸っぱいので、砂糖をまぶして、ケーキの生地にのせて焼きました。生クリームを添えていただきます。

ルバーブのコンポートは、砕いたメレンゲと生クリームをのせて食べます。
ヨーグルトと一緒に食べても美味しいそうです。

ティナの庭にはまだまだたくさんルバーブがあったので、今度はルバーブジュースを作ろうかなと考え中です。

甘酸っぱくて美味しいルバーブは、栄養も満点です。