北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

本コース3 1週目 CAD図面と展示会

学校が始まる前にティナに休暇をいただいて、フランス旅行へ行ってきました。

おとぎの国のようなフランスの古い街並み

旅行の前は旅の準備で忙しく、旅行の後はまだ旅の疲れが癒えぬままティナの工房で1週間だけ働き、今週からは学校での授業(本コース3)が始まる、というバタバタとした1か月を過ごしておりました。

 

何でこんな慌ただしい日程で旅行の計画を立ててしまったんだ…

と後悔しかけましたが、旅行はとても楽しく、学校も無事にスタート出来たので、今は行って良かったと、とても満足しています。

 

本コース3は、11人のクラスメイトで始まりました。

その内の9人は、一緒に本コース2を受けた生徒です。クラスメイトのほとんどが知り合いなので、学校での授業も、回を重ねるごとにリラックス出来るようになってきました。

学校の木々が色づき始めて、もう秋の気配です。

本コース3では、本コース2で下地張りを行った椅子の仕上げ張りを行います。

張地は革と決まっていて、私は本コース2で選んだ学校の倉庫にあったアニリンレザーを使うことにしました。

本コース2で作業した椅子の下地張り。
本コース3では、この上に仕上げの革を張っていきます。

さて、今週はCADの作図作業から始まりました。

前回の本コース2で提出したCAD図面の修正をして、仕上げの革の張地の型をCADで作成していきます。

日本でCAD経験がある私は、一日中CAD図面を描くことはあまり苦痛ではないのですが、他の生徒は、みんなぐったり疲れ切っていました。

でも来週の月曜日には、CAD図面とレポートの一部を提出しなくてはならないので、みんな必死です。

椅子の張地の型をCADで作図する作業は全員初めてですが、これもいつもの通り、詳細な説明はありません。

自分で資料を探して、自分で椅子を計測しながら、大体こんな感じかな、という図面を描きました。

私の描いた、大体の張地の型の図面。緑の線は、革の材料の形です。

そんないい加減でエエんかい!

と突っ込まれそうですが、最初のCAD図面は、椅子張りに必要な革の面積を知るために大体の大きさが分かれば良いということでした。

来週からは、布で型を作って試しながら、詳細な張地の型作りに入っていく予定です。

 

ちなみにティナの工房では、はがした古い張地を型として新しい張地を切り出していくので、一から自分で新しい型を作ることは、ほとんどありません。

ティナはCADで型を描くことはなく、経験値からだいたい必要な革の面積を計算して、注文しています。

 

学校で習うことと実際の働く現場で行われていることは必ずしも一致しないので、私はこの「働きながら学校で学べるシステム」は、とても合理的で良いなと思います。

 

「現場では簡略化しているけど、本来はこれが正当なやり方なのか」とか、

「正当な方法はこうだけど、それじゃ時間が掛かりすぎて現実的じゃないから、現場ではこうしているのか」とか、教科書通りの正当な方法と、実際の現場で使われているテクニックの両方を学べるからです。

 

他の生徒たちと、それぞれの研修先で使われている道具や技術の違いなどについて、情報交換出来るのもとても良いです。

 

そんなCAD図面とレポート作成でぐったりの私たちですが、金曜日は、学校から160km離れたFyn島で行われた 椅子張職人のための展示会 Polstrersektionens Fagmesse 2022 へ行ってきました!

片道160kmの距離を往復運転するのはキツイ!と内心不安だったのですが、自宅が近いクラスメイトたちと一緒に車で乗り合わせて行くことになったので、とても助かりました。

 

展示会には、デンマーク中から椅子張り職人さんたちが集まっていました。

道具やミシンはもちろん、革や布などの張地から、かなりマイナーで細かい椅子張り専用の材料まで何でも揃っていて、とても面白かったです。

椅子張り職人の道具たち

細々とした材料たち

私の大好きな張地メーカーKjellerup væveri

クラスメイトの中には、自宅に椅子張り用のミシンや小さな作業場を持っている生徒もいて、道具や材料など、実際に購入の話をしていて、とてもうらやましかったです。

私も少しずつ自宅で作業できる準備をしていこうと、刺激を受けました。