しばらくブログを更新できていませんでしたが、8月からデンマークの家具メーカーで、職人として働き始めました。
ティナの工房での現場研修が終わった後に1か月ほど日本に一時帰国していたのですが、デンマークに戻ってから、最初に就職活動した会社で、ありがたいことにそのまま採用していただけることになりました。
椅子張り職人として働ける就職先は限られているので、とりあえず家から一番近い就職先の候補として、一番最初に連絡した会社だったのですが、ちょうど長年働いていた職人さんが定年退職されたところで、新しく職人さんが必要とのことでした。
ただ、必要なのはミシン縫い職人で、椅子張り職人ではないとのことでした。
ティナの工房では、ミシン縫いはほとんどティナが行っていて、私はミシン縫いの経験があまりないのですが、私が椅子張り職人の教育課程をデンマークで正式に終了した有資格者であることへの信頼が大きかったようで、私の意欲も感じていただけ、とりあえず3か月の試験採用をしていただけることになりました。
会社は10人ほどの職人さんと、それ以外の事務、営業、経営陣を含めて20人弱の小さな家具メーカーです。
田舎の小さな会社なので、ゆったりしていて、和気あいあいとした家族のようなアットホームな雰囲気で、私はとても気に入っています。
私の自宅から車で20分くらいの場所で、通勤時間はティナの工房の半分なので、時間的にも体力的にも楽になって、とても助かっています。
3か月間の試験採用期間は順調に終わり、そのまま正社員採用となりました。
そして正社員になると同時に、新たにCADの図面作成をしてもらえないかとお願いされて、そちらも担当させてもらうことになりました。
というのも、数年前に椅子張り用の裁断を自動で行う大きな機械を導入したのですが、自動で裁断を行うためには、張地の型紙を専用のCADソフトで書きこまなくてはならず、社内にそのCADソフトを使いこなせる人がいなくて困っていたとのことでした。
私は日本で建築士をしていたので、CADが得意だろうと思われていたようです。
デンマークで椅子張り職人の教育も受けていることから、椅子張りの全般的な知識もあるので、どうやら持ってこいの人材だったようです。
小さな会社ですから、CAD専門の人材を雇うほどCADの仕事がある訳でもないので、私は基本的にはミシン職人として椅子の張地を縫い合わせているのですが、今は週2回、午前中だけCADの作図作業をしています。
このCADソフトが少し特殊で、今まで私が使ったことのあるソフトと違って最初は戸惑ったのですが、500ページもある英語のマニュアルをがんばって読みながら、いろいろ試しながら、今は何とか仕事に必要なレベルまでは使いこなせるようになりました。
自動の裁断機を扱う職人さんが2人いるのですが、2人ともCADは使えないので、今までCADで登録してある型紙のサイズを少し手直ししたり、新しい型紙を登録したりということができずに困っていたそうなので、私がCADで問題をどんどん解決していくので、とても喜んでもらえていて、私も嬉しいです。
今はCADの図面作成をしながら、新たに自動裁断機の機械操作も学んでいます。
小さい会社なので、1人でマルチに課題をこなせる人材が必要みたいですね。
私もいつも同じ作業をするよりも、いろいろな課題に挑戦することが好きだと会社には伝えてあるので、WinWinに仕事が成り立っていて、嬉しい限りです。
ミシン職人としての腕もまだまだ磨きたいですが、自動裁断機も使えるようになったら、そのうち椅子張り職人の仕事にも手を伸ばしていこうと思っています。
せっかく椅子張り職人の資格を持っているので、やっぱり椅子張りがしたいですからね。
会社には2人の椅子張り職人がいて、今のところはそれで充分なようです。
椅子のデザイン的にミシンで縫うことが多いので、どうしてもミシン縫い職人の方が人数が必要なのですが、気長に機会を待とうと思います。
ティナの元で学んだ古い椅子の修理もしたいのですが、今はありがたいことに就職が決まったこの会社で、がんばろうと思っています。
学ぶことは、まだまだたくさんあります。
会社の規定で社内の情報をお伝えすることができないので、ティナの工房のように仕事の様子をお伝えすることはできませんが、日々楽しく学びながら、働かせていただいています。
これまでは、椅子張り職人になるための学校での様子や、研修先のティナの工房での様子を中心にブログでお伝えしてきましたが、学校が終わり、新しい就職先では仕事の詳細をお伝えできないので、今後のブログの方針を決めかねております。
こんなことが知りたい!などのご要望があれば、教えてくださいね。
それではみなさん、素敵なお正月をお過ごしください。