北欧古物専

デンマークで椅子張り職人になりました

現場研修(praktik)2

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工房の横に放牧されている牛たち。

通りかかるとものすごく見つめられて、可愛いです。

ティナの工房で研修を始めて、4週間が経ちました。

先週からは、シンプルな椅子の仕上げの張り作業もやらせてもらえるようになりました。

これが、簡単そうに見えてとても難しいです。

ティナが最初にお手本を見せてくれるときは簡単そうなのに、自分でやると想像と全く異なり、かなり難しいです。私がやると、すごく不器用な仕上がりな上に、ものすごく時間がかかります。

自分でやった方がはるかに早くて美しいのに、ティナは私にいろいろな課題に挑戦させてくれます。

次はこうやったらもっと上手く出来るから、練習、練習!といつも笑顔で前向きな言葉をかけてくれます。

とは言え、ティナの工房で練習はなく、いつもお客さんの椅子を相手に本番です。

 

研修中は、大好きな古い椅子たち相手に作業に没頭してしまい、まるで趣味に熱中しているような感覚です。なので、いつも工房に行くのが楽しみで、そんな環境を与えてくれるティナには感謝の気持ちでいっぱいです。

 

今週は、伝統工法の椅子の修理にも挑戦させてもらいました。学校で習った方法を元に、どうやったらなるべく簡単に効果的に修理できるかを、ティナと一緒に考えます。これがまた楽しい!

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伸びて張りを失ったソファの底面

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底の帯を張り直して、スプリングを縫い直して固定します。

ティナは基本的には一人で工房で働いているのですが、たまに地域の引退したおじいちゃん職人たちがやってきて、ティナの仕事を手伝ったり、自分たちの椅子張り作業をしたりしています。

一人のおじいちゃんは85歳だそうですが、とてもそうは見えない若々しい体形とオシャレな服装で、エネルギッシュに椅子張り作業をしています。近くの町で50年以上椅子張り職人として働いていたそうで、なんと私がこの仕事を目指すきっかけになった近所の椅子張り職人さんのお師匠さんだったそうです。

近所の椅子張り職人さんもおじいちゃんでしたが、更にその人のお師匠さんだったとは...

さすがこの道50年のベテラン職人さんです。

 

こんな風に、地域のベテラン職人さんたちが自由に出入りして工房でイキイキ仕事をしたり、椅子の修理を頼むお客さんが次から次へと来たりするのは、ティナの人柄の良さなんだろうなと思います。

 

現場研修(praktik)が始まって4週間目の最終日の朝、ティナから、私のLærepladsになろうと思う、とお話をいただきました。

なんと!私の教育過程の正式な現場研修先として、契約を結んでくれるというのです。私にとって、これ以上ベストな研修先はありません。

しかも、私はティナにとって初めての研修生になるそうで、彼女の25年の職人キャリアの中の新しい挑戦になるそうです。

本当に嬉しくてありがたいお話です。

 

そんな嬉しい気持ちを抱えて、来週は1週間の秋休みです。

疲れた体を休めつつ、ウキウキ楽しくのんびり過ごせそうです。