北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

現場研修(Læreplads)32 貴重な家具に出会う日々

今週はお天気が良かったので、近くのフィヨルドに行ってきました。

風はまだ冷たいですが、太陽の下はやっぱり気持ち良いですね。

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フィヨルドの色は、日によって変わって見えます。この日はとても青かったです。

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腰まで水に浸かって冷たそうな釣り人の前を、白鳥が涼しげに泳いでいました。

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自作のかごを持って行って、ウキウキしました。
コーヒーポットとカップ、ビスケットを入れるのにぴったりでした。

 

ティナの工房では、ベテラン職人のヘニング(86歳)が「珍しいのを張り替えるぞ」と、何やら嬉しそうにやってきました。

 

1本脚のセブンチェアで、しかも小さいテーブル付きだそうです。

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ヘニングが持ってきた珍しいセブンチェア

セブンチェアのくびれた部分は一番負担がかかってしまうので、古い物だと、どうしても壊れやすくなってしまいます。

こんな補強の仕方があるのか、と勉強になります。

 

ところで、ティナの工房には2台の昇降台(高さを調整できる作業台)があって、1台をティナが、もう1台をヘニングと私が使っています。

他にも作業台は複数あるので、普段は上手に場所を分担して作業をするのですが、ごく稀に、3人とも昇降台を使わないといけないときがあります。

そんな時は、ヘニングと私が、1つの昇降台を2人で使わなくてはいけません。

 

幸いヘニングと私の身長が同じくらいなので、作業台の高さをお互いの作業に合うように調整して一緒に使うことは可能なのですが…

この日は運悪く、私の苦手な鋲打ちの作業がありました。

 

私が、真剣に慎重に鋲をかなづちで打ち込んでいく隣で、元気なベテラン職人さんが、ガンガンにセブンチェアを張替えていくので、作業台が揺れまくります。

しかも、ヘニングがたまにふと止まったりするので、

え!おじいちゃん大丈夫?

と心配になって、なかなか集中できませんでした。

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慣れた手つきで、あっという間に張替終了です。

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テーブル付きの1本脚セブンチェア。珍しい!

先週から工房にあるフィン・ユールのチーフテンチェアですが、よく見るとニールスボッダー工房のマークがありました。

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薄くて見づらいですが、CABINETMAKER NIELS VODDERの文字があります。

本物のビンテージ品でした。

 

こんな風に、日常の中で貴重なデンマーク家具たちに出会えるなんて、なんて幸運なんだろうと、改めて幸せを感じてしまいました。

 

そして、今週は嬉しいことがもう一つありました。

ティナが研修先の契約を延長してくれて、卒業試験までティナの工房で研修させてもらえることになりました。

これで、残りの学校の授業をしっかりこなして、最終の実技試験に合格すれば、正式な椅子張職人になれます。

まだ先は長いですが、卒業までティナの工房でお世話になることが決まって、とっても嬉しいです。