北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

現場研修(Læreplads)23 まだまだ知らないデンマーク家具の世界

秋もすっかり深まったデンマークは、明日でサマータイムが終了し、いよいよウィンターシーズン突入という感じです。

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近所の森も、すっかり秋色です。

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森の中は、キノコだらけでした。

 

さて、今週は珍しい椅子の張替作業を開始しました。

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張地を剥がすと、中には粉々のウレタンが…

上半身はどう見てもアルネ・ヤコブセンのスワンチェアなのですが、

下半身はどう見ても違います…

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チークの4本脚です。

ティナと一緒に「スワンチェアに見えるけど脚が違うから、この椅子何だろうね」と首を傾げていたのですが、調べてみると、この椅子もスワンチェアだということが分かりました。

しかも、超レアアイテムのようです。

 

1958年にフリッツハンセンからアルミニウムの脚のスワンチェアが発売された直後に、実はこのチークの4本脚のスワンチェアも販売されていたそうです。

ただ、人気が出なくてすぐに製造中止になってしまったようです。

 

デンマーク語ですが、下記のホームページに掲載されていました。

http://skandinaviskdesign.dk/historien-om-svanen/

 

ヤコブセンもフリッツハンセンも、いろいろ試行錯誤していたのですね。

まだまだ知らないことがたくさんあって、勉強になります。

 

ウレタンは製造された当初のままだと思うので、60年も経つとこんなに粉々になってしまうのかと、驚きます。

そう思うと、100年経っても現役で使える干し草なんかの自然素材は、本当にサスティナブルで環境に優しい良質素材なんだなと、改めて実感します。

 

でも、椅子張りの作業効率や座り心地を考えると、ウレタンは抜群に良い素材なので、現代はどうしてもウレタンに頼ってしまいがちです。

 

自然素材のように環境に優しくて長寿命で、ウレタンのように作業性や座り心地の良い新素材が開発されないかな~と、科学技術の発展を願うばかりです。



ところで、金曜日は仕事が早く終わるので、仕事の後に工房のミシンと余り革を使って、知人に頼まれていた弓の矢を入れるためのケースを作ってみました。

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ズボンのベルトに通して、腰に下げられるようになっています。

口頭でサイズや用途を話しただけだったので、上手く出来るか心配でしたが、何とか使えそうな感じです。

いつも快く工房の道具や材料を使わせてくれるティナには、本当に感謝です。

手作りのケース、喜んでもらえると嬉しいです。