北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

本コース3 3週目 kvadrat hæftninger と 座面張り

今週は、小さなパーツを縫い合わせてくるみボタンで留める Kvadrat hæftninger(クヴァダガット ヘフトニンガー)という技術の小課題に取り組みました。

日本語では「くるみボタン絞り」というようです。

私が仕上げた課題です。

先生がスライドを見せながらブワーっと口頭で課題の内容を説明して、

「今日中に仕上げてね」と締めくくり、みんな慌てて作業を始めました。

 

まずはAutoCADで自分で型を描いて、張地の型を作ります。

縫い合わせる型に番号をつけて、間違えないようにします。

その後、型に合わせて切った革のパーツを縫い合わせていきます。

縫い合わせた革の縫い代を、裏側で接着剤で貼り付けて平らにします。

それ以外にも、革の裏側を削いで薄くするSkærfning(スケアフニング)という作業や、ウレタンを切り出して接着する作業、Keder(ケダー)と呼ばれる縁材(プラスチックの芯材を細長く切った革で覆って縫う縁材)やくるみボタンを作る作業など、細かい作業もたくさんあって、結局私は丸2日かかってしまいました。

 

この小課題は、Kvadrat hæftninger(クヴァダガット ヘフトニンガー)の練習課題でしたが、今張っている椅子の仕上げでは、一枚の革をくるみボタンで留めていく Dybdehæftninger(デュブドゥ ヘフトニンガー)という技術を使って、背面を仕上げていきます。

日本語では「本絞り」というようです。

私は日本で椅子張りの経験が無く、椅子張りに関する用語や材料、道具の名前などは全てデンマーク語で習っているので、日本語の名前が分からないことが、少し問題ですね。

 

 

小課題が終わった後は、いよいよ椅子の仕上げの革張り作業に取り掛かりました。

まずは、座面から仕上げていきます。

 

必要なパーツを先週作った型に合わせて切り出して、ミシンで縫い合わせます。

革は高価なので、見えない所は麻布を縫い合わせます。

革は不均一に伸びてしまうので、引っ張りに強い麻布を使うことで、材料を均一に引っ張ることもできます。

縫い合わせた後の座面用の張地です。

前面の縁取りの縫い合わせがとても難しいのですが、革は一度ミシンで縫ってしまうと針穴が空いてしまって、布のように縫い直しが出来きないので、一発勝負です。

しかも、私の革はギリギリのサイズで余分が無いので、失敗しても新しいパーツを切り出すことが出来ません。

 

という訳で、かなり慎重に作業した甲斐もあり、何とか上手く縫い合わせることが出来ました。

前面の縁の裏側に、手縫い用の針穴を空けていきます。

空けた穴を使って、手縫いで椅子の角に縫い付けていきます。

その後、座面の前面に動物の毛を縫い付けます。

縁が真っすぐ平行になるように気を付けながら、仕上げの張地を固定していきます。

仕上げた際に見えない背面の下側は、麻布で固定します。

前面の下側も革で覆って、座面張りは終了です。

私が選んだアニリンレザー(表面塗装の無いナチュラルレザー)は、ヌバックと呼ばれる起毛加工がされた革なので、触り心地がスムーズで、作業中もとても気持ち良いです。

水分をすぐ吸収して跡が残ってしまうので、扱いの難しい革ではありますが、選んでみて良かったなと思います。

縁取りも綺麗に仕上げることが出来て、今のところ、座面は満足のいく作業が出来ました。

 

ちなみに、本コース3は前回の本コース2と比べて作業時間に余裕があるので、今週は放課後にクラスメイトたちと飲みに行ってきました。

学校の近所のバーPOTTEN

POTTENは昔の採尿器の意味で、天井にはたくさんの可愛いレトロ採尿器が飾られていました。

「ビールをたくさん飲むとトイレが近くなるから」というデンマークのシャレだそうですよ。

この日は結局みんなで3軒のバーをハシゴして、たくさん話して笑って飲んで、とってもHyggeな夜でした。