北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

本コース3 2週目 張地の型作りと革のなめし工場見学

今週は、椅子の張地の型作りを行いました。

実際に椅子の上に薄い布を当てながら、型を作っていきます。

アームの内側の型を取っています。

取った型を元に、必要な縫い代または張り代を付け足して、張地の型を完成させます。

完成したアームの内側の型です。

同じ要領で、アームの外側の型も作っていきます。

全ての型を作り終えたら張地の革の上に型を置いて、型の配置を決めて、切り出していきます。

革のサイズがギリギリなのでドキドキしましたが、何とか足りそうです。

実際に張るまでは、まだ不安が拭えない心配性な私ですが…

型がきちんと合いますように!

パズルのように型の配置を決めていきます。

今週は学校での作業以外に、デンマークにある唯一の革のなめし工場Scan-Hideへ見学に行ってきました。

工場内は撮影禁止だったので、看板のみ撮影しました。

学校がチャーターしたバスで、片道3時間かけて工場見学へ行ってきましたよ。

革のなめし工程を見るのは初めてでしたが、想像以上の臭いと重労働にビックリしました。

この工場では、食肉用に使われた肉牛から削がれた皮の最初のなめし作業から、染色の前のクロムなめしの工程を行っています。

その後の染色作業は、他の会社が行っているそうです。

 

1日に約5000枚の肉牛の皮が、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ドイツ、オランダから集まってくるそうです。

塩漬けされたそれらの革を仕分けして、保管して、洗って、なめしていきます。

 

事前に先生から「そんなに臭わないから大丈夫」と聞いていたので、油断していました。

私は鼻で息が出来ないくらいの強烈な臭いでしたが、何とか頑張って見学を続けられました。数人の生徒は臭いに耐えられずに、工場に入って早々退出していましたが、ほとんどの生徒は、そこまで酷い臭いじゃなかったと話していました。

 

臭いには、個人差がありますからね。

デンマーク人は、日本人ほど臭いに敏感じゃない人が多いので、要注意です。

 

工場の人は、革は全て食肉用の牛の皮を使っているから、そのままだと捨てられてしまう素材を生かした、とってもエコで、しかも長持ちする最良の自然素材だと教えてくれました。

 

良質な革に触れると、触り心地がとても良くて、うっとりするような高級素材だと感じますが、その影にはこうした重労働があることを実際に見ることができて、とても良い経験になりました。

革になめされる前の皮からはまだ血がしたたっていて、動物なんだということも、まざまざと感じることが出来ました。

これから革を扱うときは、今までよりももっと真摯な気持ちで向き合えそうです。