北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

本コース4 1週目 授業の方針変更とKjellerup Væveri

クリスマス休暇明けは1週間だけティナの工房で働いて、今週から学校での授業、本コース4が始まりました。

今回も5週間、学校の寮住まいです。

3食学校で食べられるので、食事の準備や片付けなどの家事から解放されて、自由時間をのんびり楽しんでいます。

 

本コース4のクラスメイトは、私を含めて9人です。

もうすっかりお馴染みのメンバーなので、みんなリラックスして授業に臨んでいます。

夕方、授業が終わって静かになった学校の様子

これまでの学校の方針では、本コース4では、背もたれの高い一人掛けソファの下地張りを行う予定でしたが、今回から方針が変わって、椅子張りの技術や材料について、座学を中心に学ぶことになりました。

今回の本コース4の方針変更は、椅子張り職人の教育過程では初めての試みです。

上手くいくかどうかは、まだ誰にも分かりません。

ただ、こうした方が全体の流れが良くなるだろうという考えの元に、前回の本コース3の終わりに、先生と生徒が合意をした上で、学校が教育機関と話し合いを行い、方針変更を決定しました。

 

こんな風に、生徒の意見を聞きながら、その時々に合わせて先生たちが教育過程をどんどん改善していくことは、とても素晴らしいことだと思います。

生徒からの「もっとこうして欲しい」という率直な意見を大切にして、学校をより良くしていこうとしている先生方の姿勢を、私はとても尊敬して、信頼しています。

 

デンマークではデモクラシー(民主主義)を大切にしていますが、学校生活においても、本当にそうだなぁと実感します。

学校環境をより良くするために、先生と生徒が対等な立場で話し合う場面が、たくさんあるからです。

 

という訳で、今週はウレタン張りの授業と、テクノロジーの授業がありました。

 

学校では、伝統工法の椅子張りと工業製品(ウレタン下地)の椅子張りの両方を習得することになっています。

工業製品の椅子張りは伝統工法に比べると簡単なので、パーツごとに張り方を習うことになりました。

まずは、アームの下地張りからです。

アームの木部に、ウレタンの端が真っすぐになるようゴム製の細いパイプを取り付けていきます。

ひじ掛けには硬めのウレタンを張り、削って滑らかな曲線を作っていきます。

 

テクノロジーの授業では、テクノロジーとは何か?について座学で学びながら、自分たちで問題を見つけて、テクノロジーの力で解決策を考える、というグループワークを行いました。

最終週にはテスト(グループワークで取り組んだ課題のプレゼンテーション)があるので、それに向けてそれぞれに課題を進めていきます。

 

今週はテクノロジーの授業で、デンマークの張地メーカーを訪問しました。

幸運なことに、訪問先は私の大好きな張地メーカー Kjellerup Væveri だったので、とても嬉しかったです。

https://kjellerup-vaeveri.dk/

 

いざ会社に着くと、想像以上にこじんまりとした大きさに驚きました。

会社の入口の外観が、普通の家と同じくらいの大きさだったからです。

普通の家と同じような外観の会社の入口

この奥に工場の建物が続いているのですが、社員さんは全部で7人で、張地メーカーとしてはとても小さな規模だと思います。

 

張地は受注生産なので、注文が入ってから必要な分だけを織るようにしているのだそうです。

1月は例年注文が少ないそうで、この日は椅子張り用の生地の機織機は稼働していませんでした。

建物に入るとすぐに、小さなショールームがありました。

お馴染みの張地から新しい張地まで、サンプルがかわいすぎて、たまりません。

柄物も素敵です

張地の輸出先としては、日本がダントツで一番だそうです。

世界規模で人気の張地メーカーだと勝手に思い込んでいたのですが、日本にファンが多かったのですね。

北欧好きの日本人のハートをしっかり掴んでいて、素晴らしいです。

小規模生産で大変だと思いますが、これからもメーカーが存続していけるように、私も微力ながら、なるべくたくさんKjellerup Væveriの張地を使って、応援していこうと思います。