北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

1.uge  1週目 とりあえずやってみる

不安でいっぱいだった学校は、始まってみるとすごく楽しい!

会話も授業も全てデンマーク語。

大丈夫か私。

と心配でしたが、外国人の私も、優しくみんなに受け入れてもらえました。

 

Skive Collegeは、デンマークで唯一Møbelpolstrer(椅子張り職人)を学べる学校です。

かなりマイナーな分野のようで、2020年1月スタートの同期は6人。

年齢は10〜40代、性別も経歴もバラバラな6人が集まりました。 

高校卒業生

断熱材職人

シングルマザー

介護士

建築士

木工職人

でも、やりたいことはみんな一緒です。

 

デンマークでは、年齢、性別、立場に関わらず、みんなが平等に垣根なく関われる文化があります。

最初の1週間で、本当にそうだなぁと実感しました。

先生も生徒も、清掃員も用務員も、みんなが仲良く親しく、いろいろな話をします。


そして、とりあえずやってみる、は大切なキーワードです。

 

初日は、ミシンの糸かけから始まりました。

日本だと、まずは先生が説明をし、見本を見せて、その通りに生徒がやってみる、

という方法が多いと思いますが、デンマークはとりあえずやってみる、です。

何の説明もありません。

 

みんなウンウン唸りながら、自分なりに考えて、糸をかけます。

近くの人に声をかけ、助け合います。

終われば先生に、間違っている箇所を教えてもらいます。

 

ミシンを触ったこともない人に、ミシンの説明をしたって分からないでしょ。

というのが、先生の考えです。

次の日からは、ミシン縫いの練習です。

細かい説明はなく、怪我をしないよう、機械を壊さないよう、必要な注意事項だけを教わります。

そして、とりあえず縫ってみます。

その後やっと、ミシンの詳細な説明がありました。

なるほど先生の言う通り、とりあえずやってみた後は、細かい説明がすんなり頭に入ってきます。


3日目からは、いろいろな縫い方に挑戦です。

でも、縫い方の説明はありません。

見本を見ながら、自分で考えて、やってみて、うまくいかなければ先生に質問します。

 

先生は、椅子張りにはいろいろな方法があって、一つの正解はないと言います。

ミシンも個体差があるし、人もまた、その人にあったやり方があるから、

それぞれにあった方法を、自分で見つけるのが一番と考えているようです。

 

年齢も性別も経歴も違う私たちは、

課題の進み具合もバラバラで、

同じようで違う、個性を持った機械を使いながら、

同じようで違う、自分なりの技術を身につけていかなくてはならないようです。

そう思うと、不思議と肩の力が抜けて、すっと自分の作業に集中できます。

 

自分が納得するまで、

自分なりのやり方を試しながら、

自分にあった方法を見つけ出せます。

人と比べられることはありません。

 

私がずっと知りたかったこと。

デンマークは、なぜこんなに素晴らしい家具を次々生み出せたのか。

 

それは、全ての人に対するフラットな人間関係、

まずはやってみること、

それぞれの個性を大切にする文化、

なのかな、と少し分かったような気がしました。

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初日、まずはミシンの糸かけから