北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

2.uge 2週目 クッション作り

今週は、クッション作りです。

作業に入る前に、先生から作り方の説明がありました。

材料は、学校に保管されている過去の課題の余りを使います。

さすがデンマーク。

ウールたっぷり、ふわふわで上質な生地がたくさんあります。

私は迷うことなく、大好きなウールたっぷりの生地を選んだのですが、

他のクラスメイトたちは、ビニールレザーや化繊布を選んでいました。

 

不思議に思いつつ、ワクワク作業に取り掛かった私ですが、

少しずつ後悔が押し寄せます。

 

私の選んだ布は、厚みがあって、伸びが良いのです。

パワフルなミシンでゆっくり縫うからか、布が伸びて、どんどん型が崩れていきます。

さらに、縫い合わせていくうちに厚みが増し、どんどん縫いにくい状態に陥りました。

 

ビニールレザーと化繊は、生地の厚みが薄く、伸びも少なく、

みんな苦戦しながらも、スイスイ縫っていきます。

 

一方の私は、縫ってはほどき、縫ってはほどき、の繰り返しです。

ああ、しまった。

調子に乗って、自分の技術の未熟さも考えず、好きな生地を選んでしまった。

と後悔しつつ、

でも、私が使いたいのはこういう布だからな

と地道に何度もやり直しながら、一番最後にやっと完成しました。

 

先生にもクラスメイトにも、急かされることはありませんでした。

自分の納得がいくまでやり直して完成できたので、嬉しさは満点です。

難しくても、自分の作りたい材料で課題に取り組めるのは、やる気が湧きます。

何より、楽しいです。

扱いにくい材料を選んで苦戦している私に、先生は笑顔で、もう一回やり直しね。

と言って、少しずつアドバイスをくれます。

 

早い生徒は、私が1個のクッションを完成させた時には、

違う素材で同じ型のクッションを2個作り終えて、さらに次の課題に取り組んでいました。

 

やっとできたー!と、作業の早い生徒に、新しい課題の様子を伺うと、

難しいよコレ、縫い目をほどくの3回目。

でも、君はほどくの得意だから、次の課題も大丈夫だよ。

と、ニッコリ微笑みかけられました。

 

デンマーク人は、こういうジョークが好きなようで、

自分のことも他人のことも、よく皮肉っています。

でもそこに悪意はなく、ネガティブなことをポジティブに変換する作用があるような気がします。

 

作業の早い人も遅い人も、それにについては、気にしていません。

早い人が優れていて、遅い人は劣っている、という気概もありません。

選んだ素材も、作業時間も、出来栄えも、人それぞれです。

 

大切なのは、自分で自分の作ったものに納得すること。

 

授業はリラックスした雰囲気で、和気あいあいと進んでいきます。

みんなバラバラだけど、なんとなくまとまりがあって、

声をかけ合いながら、助け合いながら、進めていきます。

 

こういう和やかな雰囲気は、学校以外でも、デンマークの至る所で感じます。

職場やお店でも、家族や友人、近所の人たちとの集まりでも。

そしてそれは、安心と居心地の良さを与えながら、一人一人のパフォーマンスを高めてくれるんじゃないかな、と思いました。

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どんどん縫いにくくなる生地

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初めてのクッション、ライン模様が揃って嬉しい