サマータイムになって一気に明るくなったデンマークは、朝は6時前から夜は21時くらいまで明るくなりました。
花が咲き、木々が芽吹き、鳥がさえずるこの季節は、長く暗い冬からみんなが一斉に目覚めたように、元気いっぱいです。
ティナの工房で作業した2脚目のベアチェアは全張替で、私は張地を剥がす作業を担当させてもらいました。
作業を進めながら、デザイナーのウェグナーは、新しい試みにたくさん挑戦した人だったんだな、と思いました。
一人掛けのソファを、デンマークではLænestol(レーナストール)と呼ぶのですが、同時代の一般的なLænestolとベアチェアは全く違う構造で、驚きました。
ベアチェアと言えば、背中をすっぽり包み込む抜群の座り心地が有名です。
今から70年前に、それまでと全く異なる斬新な構造で、あの座り心地を再現したウェグナーって何者?
と、デンマークデザインの巨匠に、改めて感嘆しました。
デンマークの一般的なLænestolで背面にスプリングが使われているものはたくさんありますが、そのほとんどは、座面に使われる大きなスプリングと同じような物が使われています。スプリングの上には、麻や動物の毛を乾燥したものや綿布が覆いかぶせてられていて、それらは椅子の形に合わせて固定されています。
一方ベアチェアは、細くて小さなポケットコイルがたくさん背面に縫い付けられていて、その上に綿と動物の毛をたっぷり詰め込んだクッションのような袋が、覆い被せられています。
背面の外側には乾燥した植物がたっぷり詰め込まれていますが、これは一般的なLænestolと変わりません。
この構造を考えたウェグナーもすごいし、それを一緒に制作して商品化したA.P.Stolen工房の職人さんもすごいな~と、感心しきりです。
デンマークの普段の生活の中でも、工房の研修や学校の授業でも、デンマーク人は「とりあえずやってみる」ということを大切にしているように思います。
上手くいくかどうかは分からないけど、自分で思いついたことがあればとりあえずやってみなよ、と大体どこでも勧められます。
そういうデンマーク人のチャレンジ精神や好奇心、例え失敗したとしてもそれを寛容に受け止める文化が、たくさんの素晴らしいデンマークデザインを生み出したんじゃないかな、と少し納得しました。
さて、私の半年間の現場研修(Læreplads)は、3週間後にいったん終了となり、その後は1か月間の学校での授業(本コース1)になります。
今のところ、一緒に基礎コースを受けたクラスメイトで来月の本コース1に進学するのは、私ともう一人の生徒だけです。
それ以外には、コペンハーゲンの学校で基礎コースを終えた生徒が合流するはずですが、クラスメイトが何人になるのかは、行ってみてのお楽しみです。
ティナの工房での現場研修はとっても楽しいですが、学校での授業もまた楽しみです。