北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

現場研修(Læreplads)25 楽しく大変な手仕事

今朝工房に着くと、工房の裏側にキレイな満月が見えました。

真っ暗すぎて、もはや朝なのか夜なのか、一瞬分からなくなります。

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工房で椅子の修理をしていると、その修理方法が本当に千差万別で、驚きます。

この道25年のティナでも、まだまだ見たことのない椅子の張り方や組み立て方がたくさんあるそうです。

 

今週修理したソファの底は、いつもより少し大変でした。

座面のスプリングを支える麻テープを、木枠の内側で張替なくてはならなかったからです。

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修理前のソファの底面

本来は麻のテープはスプリングの真下で交差させて、スプリングがズレないように麻紐で一つずつ麻テープに縫い付けなくてはなりません。

でも、この麻テープはスプリングの下で交差されていないし、スプリングも縫いつけられていませんでした。

 

こりゃひどいね~

 

とティナと相談して、全部張り替えることになりました。

 

底面の全張替は何度か行っているので、作業自体はさほど難しくないのですが…

今回は麻テープの張替位置のおかげで、思ったより大変な作業になりました。

 

スプリングを正しく効かせるために、狭い隙間を使って、木枠の内側に麻テープを固定しなくてはならなかったからです。

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修理後のソファの底面

鋭く尖ったスプリングの先やら、古い釘やら、木のささくれやらで、もう手も指も擦り傷だらけです。

でもきちんと修理したので、スプリングの効きは、本来の働きにばっちり戻りました。

 

次は、小椅子の底面の修理です。

こちらは、麻テープを木枠の内側ではなく、外側で固定するタイプです。

こちらの方が、張替作業は断然楽です。

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修理前の椅子の底面。びっくりするくらい適当に、一時的な修理が施されています。

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修理後の椅子の底面

こちらは、麻テープの張替は楽でしたが、スプリングを縫いつける作業が大変でした。

麻テープを1本増やしたことで、テープとテープの隙間がほとんどなくなってしまい、手を入れる隙間がなくなってしまったからです

隙間から何とか指を押し込んで縫いつけたので、やっぱり手は擦り傷だらけになりました。



手の傷は絶えませんが、古い椅子が見違えるようにすっかりキレイになるのは、いつも気持ち良く、嬉しい瞬間です。

 

傷だらけになっても手仕事はやっぱり楽しいので、自宅でかご編み第2弾に取り掛かりました。

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今回も、オンラインでビデオを見ながら作業しました。

こちらはまだ完成していませんが、今年はこのかごを持って森にクリスマス飾りを摘みに行けるかな、と今からワクワクしています。