北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

現場研修(Læreplads)45 冬の始まりと古い椅子

少し前まで「今年の冬は暖かいな」なんて思っていましたが、今は気温がぐっと下がって、雪の舞う日も出てきました。

去年のような大雪になりませんように、とドキドキしています。

11月中旬に、もう初雪が降りました。

本格的な冬に向かってどんどん暗く、寒くなっていくデンマークですが、12月に入ってクリスマスのお祝いが始まったので、友人や家族、仲間たちと過ごすヒュッゲな時間も増えてきました。

 

先日は、椅子張りの学校のクラスメイトと遠出して、ラーメンを食べに行ってきました。

デンマークの担々麺、美味しかったです。

実は学校の期間以外でクラスメイトとプライベートな時間を過ごすのは初めてだったのですが、私の夫とクラスメイトの恋人も一緒に、みんなで楽しく過ごして、とても良い休日になりました。

 

デンマーク人は、休日は家族や親しい友人、趣味などに時間を使う人が多いので、その大切な時間を一緒に共有出来たことは、とても嬉しかったです。

学校を通じて親しい友人が出来たことは、デンマーク人の友人が少ない私にとっては、とてもありがたいことです。

これからも、クラスメイトたちとの関係を大切にしていきたいと思います。



今デンマークの椅子張り業界では、燃料や物価の高騰の影響で、どこの工房でもお客さんが減って大変なのですが、ティナの工房では、ありがたいことにお客さんからたくさんの修理依頼を受けています。

特に今はクリスマス前の納品ラッシュで、例年通り忙しい日々です。

 

今週は、とても古い椅子の修理も行いました。

1903年に一度張り替えられたそうなので、少なくとも1800年代後半に作られた椅子なのだろうと推測されます。

120年以上前に作られた椅子が、今も大切に使われているなんて、この椅子を作った職人さんは、とっても嬉しいだろうなと思います。

 

私が今までティナの工房で携わらせてもらった椅子の中で一番古い物は、教会から張替え依頼のあった小さなスツールです。

大きく1862という数字が書かれています。

おそらく1862年に作られたということだと思うのですが、書いてある文字はティナにも読み取れないということでした。

それ以外にも、小さく鉛筆で1935年12月20日の日付と名前が書いてあります。

文字が書かれているこの座面の木部は、椅子の張地と下地材を剥がさないと見えない部分なので、これはたぶん張替えられた日付なのだろうと思います。

 

160年前に作られたこの小さなスツールは、ずっと教会で大切に使い続けられてきて、きっとこれからも大切に使われていくのだろうなと思うと、嬉しくなります。

思わず、私も日付と名前を書いておこうかな、と思ってしまいました。

結局書きませんでしたが、もし書いていたら、何十年後かにこのスツールを張り替える職人さんはきっと驚くだろうな、と思うとワクワクしました。

 

今年もクリスマス休暇まであと少し、楽しく元気に働こうと思います。

去年に引き続き、ティナからクリスマスカレンダーをいただきました。
12月1日から毎日一つずつ扉を開いて、一つずつチョコレートを楽しみます。