北欧古物専

デンマークで椅子張り職人の学校に通っています

現場研修(Læreplads)48 ゴムバンドの使い方とモースゴー博物館

3月に入ってやっと明るくなってきたと思った矢先、今度は雪と吹雪が1、2週間ほど続き、なんと冬に逆戻りしてしまいました。

朝の工房。キレイなんですけどね…春はどこへ…

みんな春の雪にがっかりしていたところですが、最近また暖かさを取り戻してきたので、次こそ春の陽気が続きますように、と願うばかりです。

 

 

さて、今週は少し面白いゴムバンドの使い方をしている椅子があったので、ご紹介します。

ティナと一緒に、こんな使い方は初めて見た!と、盛り上がりました。

本当に、椅子の張り方は千差万別です。

おそらく1950年代に張られた椅子。中のウレタンは粉々になっていました。

丁寧に剥がしたウレタンの下は、ゴムバンドで椅子のフォームが形作られていました。

こんな風に、ゴムバンドだけで椅子のフォームを作っているのも、ゴムに切れ目を入れて、割いて使っているのも、全く珍しい使い方です。

全部ゴムを張り直してしまうと、この絶妙なカーブを再現するのがとても難しいので、傷んでいるアーム部分のゴムだけを張り直して、残りは麻テープで補強することにしました。

補強後のゴムバンド。

ゴムバンドにもいろいろな使い方があるものだなぁと感心していると、もう1つ変わった使い方をした椅子がありました。

こちらは、椅子の座面の下地のゴムバンドです。

通常は、椅子の枠と平行に張ることが多いゴムバンドですが、こんな張り方があるとは驚きです。

このゴムバンドは、もうバキバキに硬くなってしまっているので、全て張替えます。

張り替えるときは、平行に張り直す予定です。

ゴムバンドは、一般的にはこんな風に平行に張ってあります。

椅子の張り方は無限大です。

私も頭を柔らかくして、いろいろな張り方に挑戦してみたいと思います。

 

 

ところで、先週末は久しぶりに少し遠出をして、モースゴー先史博物館 Moesgaad Museunに行ってきました。

https://www.moesgaardmuseum.dk/en/

建物は、地面の傾斜に合わせた屋根勾配で、周囲の自然に溶け込むようなデザインになっています。

博物館の入口前です。この日は久しぶりの快晴でした。

屋上は芝生になっていて、お散歩も出来ます。

どこからが屋上の芝生で、どこからが地面の芝生なのか、写真では分からないくらい風景によく馴染んでいます。

この日は久しぶりの太陽光を楽しみながら、キレイな景色も堪能できました。

 

建物のデザインは、デンマークを代表する建築家、ヘニングラ―センです。

 

夏休みに遊びに行ったコペンハーゲンの素敵な美術館Glyptoteket(ニューカールスバーグ美術館)もヘニングラ―センのデザインだったようです。

うーん、素敵な訳ですね。

Glyptoteketの中庭

モースゴー先史博物館では、デンマークの考古学コレクションの展示を元に、石器時代から中世までの歴史を学ぶことができます。

紀元前2500年頃のアクセサリー。今とあまり変わらぬデザインに驚きました。

それ以外にも、世界の民俗学コレクションを元に、世界各地の死者との向き合い方なども学べます。

メキシコの死者の日を紹介する展示。

特にメキシコの死者の日の展示は、とても面白かったです。

たまたま家で、メキシコの死者の日を題材にした「Coco」というピクサーのアニメーション映画を見た後だったので、盛り上がってしまいました。

 

この日は常設展の他にも、ゲルマン民族大移動とフン族の襲来を題材にした特別展があり、そちらも面白かったです。

光や音楽による演出も素敵でした。

アジア系遊牧民のフン族との交渉に金が使われていたということもあり、たくさんの金の展示がありました。

紀元前500年頃の金のベルト飾り

こちらの金で縁どられた巨大なメダルのようなものはスクリーンになっていて、プロジェクターからアニメーションが映し出され、歴史を学べるようになっていました。

とても広い博物館なので、テラスで休憩もしました。

屋上に気持ちの良いテラス席があります。

持参したコーヒーと道中のパンやさんで買ったサクサクのデニッシュパンで休憩しました。

予想以上に充実した展示ばかりで、休憩を入れつつ、結局5時間も滞在してしまいました。

建築やお天気も楽しみつつ、歴史も楽しく学べて、充実した休日となりました。