ブログの更新が遅れてしまいました。
平日の仕事終わりや週末の時間を使って取り組まないといけないことが、たまたまたくさん重なってしまって、忙しくしておりました。
やっと落ち着いたので、ブログを再開します。
5月になると気温が安定して暖かくなってきたデンマークでは、菜の花畑が満開です。
少し郊外に出ると、そこら中で一面まっ黄色の菜の花畑を見ることが出来ます。
ティナの工房では、いつものように忙しくしています。
最近は少しずつ、ティナに質問しなくても、自分の今までの経験を使って一人で椅子張りを完成させることが出来るようになってきました。
同じような椅子の張替えでも、椅子の状態、張地の種類、お客さんの要望によって、毎回修理の仕方を変えていかなくてはなりません。
そこが難しいところでもあり、面白いところでもあります。
経験と技術の蓄積、修理の仕方や素材に関する知識、その都度最適な修理方法を考え出す創造力と工夫が必要になります。
ティナを見ていて本当にすごいなと思うのは、それらのことを当たり前のようにサラッとこなして、いつも様々な創意工夫で椅子を修理していくことです。
そして仕上げの張りについては、少しの歪みや不均一、シワも見逃さず、可能な限り美しい仕上げにこだわります。
そして、作業はとても速いです。
師匠にはまだまだ到底及びませんが、卒業試験までの半年間、尊敬するティナの元で少しずつ腕を磨きたいと思います。
さて、今日はティナの工房で使っている椅子の張地メーカーをご紹介します。
私は、日本の家具メーカーで働いた経験があるのですが、その会社ではデンマークの張地を使っていました。
以前このブログでもご紹介した Kjellerup Væveri と Kvadratです。
【Kjellerup Væveri】
Kjellerup Væveriは、フィン・ユールやハンス・ウェグナーと一緒に同時代から活躍されているテキスタイルデザイナーのHanne Vedelさんの張地を扱っていることで有名です。
https://www.hannevedeldesign.com/
とてもキレイな色使いで、ウールを多く使用した高品質な張地で、私も大ファンです。
10年前から自宅で愛用しているKjellerup Væveriの張地で作ったクッションカバーは、今も色褪せず傷みもなく、キレイな状態を保っています。
Hanne Vedelさんとは、幸運なことに、数年前友人の紹介で工房を訪ねて、実際にお話したことがあります。
エネルギッシュで自然体で、本当に素敵な方でした。
日本で働いていた頃から彼女のファンだったので、お会い出来たときは、とても嬉しかったです。
【Kvadrat】
Kvadratは、ナナ・ディッツェルのデザインしたHallingdalの張地が有名です。
デンマークのメーカーですが、世界的に展開しているインターナショナルな会社です。
東京にショールームがあって、私も訪問したことがあります。素敵な張地がたくさんあって、とてもワクワクしました。
デンマーク本社は、私の家から車で1時間半くらいの距離にあるのですが、私はまだ訪問したことがありません。
去年、ティナが新作説明会に招待されて、私も連れて行きたかったらしいのですが、コロナで各社一名のみの参加という条件だったので、私は工房でお留守番でした。
次回は、一緒に行けると良いなと思います。
Kjellerup Væveri と Kvadratはティナの工房でも取り扱っていますが、私は椅子張りで扱ったことはほとんどありません。
どちらも高級品で、椅子張りの値段がどうしても跳ね上がってしまうため、なかなかお客さんには選ばれないようです。
【nevotex】
ティナの工房で一番扱いが多いのは、nevotexの張地だと思います。
こちらはスウェーデンのメーカーで、北欧の国を中心に展開しているようです。
値段が手頃で品質も良く、シンプルなデザインでたくさんの色が選べるところが、人気の秘訣だと思います。
私が卒業試験で使う予定の張地も、このnevotexの張地です。
値段が手頃と言っても、ティナの工房で扱っている張地はどれも基本的には高額です。
一番安い価格帯でも、1mで約500クローナ(約1万円)で、高額な張地だと1200クローナ(約24000円)かそれ以上の価格になります。
なので、張地を切るときは、私は毎回とても緊張します。
【Danish Art Weaving】
それ以外にも、Danish Art Weavingの張地も扱っています。
こちらは名前の通りデンマークの会社です。
環境に配慮した自然素材、ウール、コットン、麻などの材料を中心に扱っているようです。
デンマークで昔から使われているようなシンプルなデザインが多い印象です。
ウールを使った厚めの張地は、フワフワで触り心地が良く、丈夫な上に張りの作業もしやすいので、とても優秀な張地です。
【Gabriel】
Gabrielもデンマークの会社です。
https://www.gabriel.dk/en/?frontpage
ヨーロッパだけではなく、アジアにも展開していて、中国、タイ、シンガポール、フィリピンにもショールームがあるようです。
張地は、Danish Art Weavingと同じように、デンマークらしいシンプルなデザインで、ウールの高品質な張地が多いように思います。
【Bomholtz Larsen】
こちらもデンマークのメーカーですが、ホームページはデンマーク語のみなので、デンマーク国内向けに販売しているようです。
デンマークの1950年代頃の家具はレトロ家具と呼ばれているのですが、その時代の家具にとてもよく合いそうなレトロな雰囲気の張地が多いです。
張地以外にも、椅子張りに必要な様々な材料や道具を販売しています。
ティナの工房では、張地よりもそれ以外の材料を注文することが多いように思います。
【Designers Guild】
このメーカーは、デザイナーの色鮮やかで個性的な張地が特徴的です。
https://www.designersguild.com/dk/l0
普通の張地では満足出来ず、インパクトのあるデザインを求める人向けの張地です。
椅子の張地以外にも、壁紙やカーテンなども扱っています。
レストランやホテルなど、非日常的な空間をドラマチックに演出するのに、とても良いと思います。
こちらは、イギリスの会社のようです。
ティナの工房にもサンプルセットがいくつかあるのですが、私はまだ注文されるのを見たことがありません。
普段は忙しく仕事をしていて、じっくり張地の勉強を出来ていないのですが、少しずつ時間を作って学んでいきたいと思います。